うまいきしめんはここにある!~ 味噌+鉄板+きしめん!!! “名古屋み”の三重奏「則武朝日屋」
味噌と鉄板にも負けない太きしめん
じゅわゎゎ~ッ!! 勢いよく湯気を立てながら目の前に現れるのは鉄板皿に盛られたきしめん。同時に立ち上るのは味噌の香ばしさ。甘辛い味噌ダレがよくからむ麺は、幅も厚みもあってむちむちで、濃いめのタレにも負けない存在感が。鉄板のおかげで最後まで熱々なのもパンチのある味わいをより印象づけてくれます。主張の強い味噌と鉄板を組み合わせることで、きしめんならではの食べ応えがいっそう引き出されているのです。

アツアツ鉄板から立ち上る湯気と味噌の香ばしさが食欲をそそる焼き太みそきしめん950円
「喫茶店みたいなものはダメだぞ」が先代の戒め
「タレは、味噌煮込みうどんと同じ味噌にダシを加えたオリジナル。普通のきしめんだと鉄板の熱に負けて切れてしまうので、太い麺を合わせています」と「則武朝日屋」(のりたけ あさひや)3代目の堀場剛さん。タレと鉄板はもともと焼き肉定食用に先代が開発・調達したものだったといいます。
「鉄板を使って焼きうどんや焼きそばもできないかと思ったんですが、先代からは『うちはうどん屋なんだから喫茶店みたいなもんは出したらダメだぞ』と言い聞かされていたんです」。
堀場さんが店に立つようになった昭和50年頃はうどん屋の全盛期。昼も夜もビジネスマンや家族連れでにぎわい、多様なニーズに応えるためにどの店にも定食メニューがありました。先代が焼き肉定食を開発したのもそんな時代のことでした。
しかし、食生活や外食産業の多様化もあって、やがて業界全体がじわじわと右肩下がりに。危機感を抱いた堀場さんは「毎月一品新メニューを開発する!」と自分にノルマを課します。平成も終わりにさしかかろうとする10年ほど前のことです。
「焼き太みそきしめんは4つめの新作でした。焼きうどんはダメといわれていたけど、きしめんならいいだろう、と(笑)。味噌ときしめんで名古屋らしいし、何よりタレがオリジナルなのでウチにしかないメニューになる、と考えたんです」

3代目の堀場剛さんと妻の美香さん。「私の声が大きくてキツく聞こえちゃうのか、主人とケンカしてると勘違いされちゃって、それも店の名物みたいになっちゃってるんです(笑)」と美香さん
終売寸前から急転直下のブレイク!
タレと麺が互いに引き立て合うよう試行錯誤をくり返し、苦心してつくり上げた自信作でしたが、当初の反応は今ひとつ。常連を飽きさせないようにとメニューを増やしたのに、常連にはそれぞれお気に入りがあり新作に対する反応は鈍かったのです。もうメニューから外してしまおうか・・・とあきらめかけていた時、目ざとくこれを見つけたのは地元のライターでした。「これまでになかった新しいきしめんだ!」と雑誌やネットで大きく取り上げてくれ、それを機にテレビなど他メディアの取材が次々と舞い込むようになったのです(筆者もその1人です)。
愛知万博がきっかけの名古屋めしブームから10年がたって人々の体験も一巡し、目新しさを求めるフェーズにも入っていたのでしょう。焼き太みそきしめんは新種の名古屋めしとしても注目され、これを目当てに遠来のお客も数多く訪れるように。こうなると3代目の生来の創作精神にもドライブがかかり、鉄板きしめんシリーズや白い味噌煮込みうどんなどユニークなオリジナルメニューを次々と商品化。いつ訪れても新しい、そして食べたこともない、さらには名古屋らしい麺料理が食べられると、名古屋めしの名物店のひとつに挙げられるほどになったのです。

オリジナリティあふれるきしめんをはじめとするメニューの写真が壁中に貼られている

筆者がお気に入りだった創作きしめん、冷やしイタリアンつけ太きしめん。残念ながら現在は販売休止中
ノーマルなきしめんは老舗らしい正統派
変わりダネのきしめん、味噌煮込みなどが食べられると注目度が高まった同店ですが、その面白さを際立たせているのは老舗の庶民的なうどん屋であること。どの町にでもあるようなうどん食堂然とした店構えでありながら、意外性のあるメニューを食べられるからこそ、楽しく、またおいしさも増すのです。もちろんノーマルのきしめんは品のある正統派の味わい。まずは普通のきしめんを食べておくと、地元の人に長く愛されてきた理由や、振り幅の広さを実感できるかもしれません。

ノーマルなかけきしめんは、麺の幅も太きしめんと比べて狭い。一杯500円の価格も今ドキ珍しい庶民派価格
■ 則武朝日屋
・名古屋市中村区則武1-18-16
・1934年創業
・052・451・5930
・11:00~13:30L.O、18:00~20:30L.O(土曜は19:30L.O)
・日曜休
・JR名古屋駅より徒歩8分
・駐車場 1台
・36席
・きしめん 500円
・きしめん 幅/1・5cm・厚さ2mm(太きしめん)
・小麦粉/金トビ志賀・きぬあかり
・ダシ/ムロアジ
・醤油/牧野醤油・うす口
・その他メニュー/あいのり930円、五目きしめん900円、えびおろし1100円、玉子丼750円、きしめん定食850円、みそかつ定食1600円、白い煮込みうどん960円
※写真撮影/すべて筆者
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