うまいきしめんはここにある!100余年愛される無骨で優しい手打ち麺~「賀登光本店」
窯場の町で愛される百年食堂
焼き物の町、愛知県瀬戸市で愛され続けて一世紀余。「賀登光(かどみつ)本店」は1917(大正6)年創業の堂々たる百年食堂です。
きしめんは、厚めの麺と黒っぽいつゆでちょっと無骨な印象。口に運ぶと麺は意外やふわりとやわらかく、うどんにも似たもっちり感が。つゆもまた見た目から連想されるような辛さはなく、ダシがしっかり利いてまろやかな深みを感じます。冷たいコロきしめんだと、厚みのある麺がしまることで噛み応えが増し、温かいかけきしめんとはまったく印象が異なるのも面白いところです。

きしめん700円。厚みがあって食べ応えがあるのも職人の町で愛されてきた所以
「瀬戸は窯場が多くて、みんな熱い中で体力を使うから、味が濃くてするっと食べられるうどんが好まれたんですよ」とは4代目の佐野敬徳さん。長く親しまれてきた味を守るために何より大切にしているのが代々受け継がれてきた手打ち。「父の口癖が『手でやれなかったらうどん屋はやらない』。僕もこれだけは守ろうと思ってやってます」。食した時のもちっとした優しい食感は、手を使うからこそできるのだといいます。
手打ちだから生まれる優しい食感
佐野さんが家業に入ったのは40才の時。父親に麺打ちの教えを請うと「早朝に来い」といわれますが、実際にお手本を見せてくれたのは3日だけだったとか。「『子どものころから見てるから分かるだろ』というんです。結局、父が打っているのを離れてちらちら見ながらやり方を覚えるしかなかった。それから数年で父は亡くなってしまい、47才で正式に店を継いだんですが、その頃に母が『(麺を切る)音がお父さんとおんなじや。もう一人前やな』といってくれました」

4代目の佐野敬徳(よしのり)さん。麺は切った後でつるして乾かすことで、ゆでる際に麺同士がくっつかなくなる。「つるしても伸びてしまわないよう力強い粉をつかっています」
手打ち麺を守ることにこだわる一方、あえて変えていることも。「おいしいといってもらうには何よりダシが大事」と、ダシの材料は父の頃の倍は使うそう。コロのつゆはみりん、ザラメを加えてすっきりした甘さに、冷やしきしめんはうどんのつゆを冷やしてかえしを加えて風味を出すなど、きしめんひとつ取っても、つゆの味わいを変えています。

麺類はすべて定食にできる。きしめん定食1050円はおでん、味ごはん、小鉢、漬物がついてお得
さらにメニューの種類も徐々に増やしていきました。夏のきしころ、秋~春の芋うどんなど、季節感を取り入れたメニューも多く、それを目当てに遠方からわざわざ足を延ばすお客も増えています。

夏メニューのとり天すだちおろしきしめん1200円

こちらも夏メニューの大エビ天コロきしめん1100円
焼き物の町にふさわしい、力強さの奥につくり手のぬくもりも感じるきしめん。ご当地の空気が注がれた、わざわざ足を延ばして食べる価値のある一杯です。

「若い頃は『絶対に継がん!』と思っとったけど、古くからのお客さんに『親父さんが元気なうちに教えてもらわんと覚わらんよ』といわれて、うどん屋をやる決心がついたんです」と佐野さん
■賀登光本店
・愛知県瀬戸市刎町5
・1917年創業
・0561・82・2539
・11:00~20:00(L.O.)
・水曜休
・名鉄尾張瀬戸駅より徒歩15分
・駐車場13台
・33席
・きしめん 700円
・きしめん 幅/1・2cm・厚さ3mm
・小麦粉/金トビ志賀・金トビ
・醤油/ヤマヤ六分だまり 他
・ダシ/ムロアジ、宗田ガツオ、サバ
・コロきしめん750円、ざるきしめん900円、冷やしきしめん900円
・その他のメニュー/うどん650円、志の田うどん700円、味噌煮込み950円、スタミナ味噌煮込み1100円、中華そば750円、つけめん850円、カツ丼980円、味噌カツ定食1050円
※写真撮影/すべて筆者
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