うまいきしめんはここにある!~手打ちの麺と淡色のつゆが端正~「かめ壽本店」
測ったように美しく整った手打ち麺
透明感のある麺は幅も厚みもぴたりと均一。まるで機械で測って切ったかのようですが、正真正銘の純手打ち。表面はやわからくてもっちり感があり、それでいて芯にはしっかりコシが。薄さの中にも食感の二重構造が作り上げられています。きれいに揃っているので見た目も端正なのですが、この卓抜した技術はもちろんおいしさのため。ゆでむらがなく、食感がなめらかなので、麺をすする行為自体が何とも心地よく官能的ですらあるのです。

「かめ壽本店」のきしめん950円。麺は幅も厚みも見事に揃っている
上品な淡い色のつゆ
もうひとつ特徴的なのはつゆの淡い色合い。名古屋のうどん屋は、たまり醤油ベースの赤、白醤油ベースの白と2種類のつゆをつくって、メニューによって使い分けるのが基本ですが、ここでは赤つゆが基本のかけきしめんを注文すると、赤と白の中間のような色のつゆで出てきます。「うちではこれが赤なんです。昔は色の濃い溜まり醤油を使っていましたが、私の代でこれに変えました。色が薄くなるほど値段が高くなるんですが、その分味わいも上品になるんです」と店主の渡邊一弘さん。確かに角がない上品な味で、気づけば最後まで飲みほしています。

こちらは白つゆの志の田きしめん。透明感があって麺の美しさがより際立つ。900円
渡邊さんは3代目。手打ちの技術を身につけようと、「えびすや」に弟子入りし4年間住み込みで“名古屋手打”と呼ばれるこの地域独自の技を修得。父親の時代は製麺機を取り入れていましたが、渡邊さんが家業を継承したのを機に手打ちに切り替えました。修業先の製法を基本としつつ、生地をこねる塩水の濃度をやや控えめにするなど、自分流にアレンジをほどこしているといいます。

きしめんは釜の中でくっつきやすいのでゆでる際も目が離せない。写真は3代目の渡邊一弘さん。息子の凌さんとともに父子で厨房を守っている
隠れた名物、名古屋流カツ丼(?)
確かな技術をもって品質の高い麺を提供しつつ、あくまで大衆的な麺類食堂らしさを守っている。これはこの店に限らず、名古屋のうどん屋では当たり前のように見られます。「かめ壽本店」も店構えからしていかにも昔ながらのうどん店らしく、品書きもきしめん、うどん、そば、味噌煮込みうどん、丼物、酒のつまみにもなる口取りと幅広い。常連にお勧めを尋ねても、「いつも志の田と決めている」「私は味噌煮込み」「カツ丼もうまいんですよ」とそれぞれが“いつもの”を持っています。

ジャンボな海老天がどどん!と乗った海老おろしも隠れ名古屋めしのひとつ。1450円

独自に調合している味噌がまろやかなみそ煮込1250円
ちなみに筆者がきしめんの次にここでよく注文するのはカツ丼。うどん屋のカツ丼がウマい!は世の常識ですが、名古屋の老舗ではひと味違うカツ丼が食べられるのもツウの間では知られたこと。ダシをカツの衣に吸わせてとき玉子を流し入れる玉子とじではなく、玉子をカツの上からかけるのです。おかげでカツはさくさくのまま。俗に“かけカツ丼”と呼ばれ、数人前ずつまとめて調理できるようあみ出されたのだとか。名古屋でも、古いうどん屋以外ではあまり見られない、これも隠れ名古屋めしの一種といえるかもしれません(?)。

玉子をカツの上からかける通称“かけカツ丼”。1200円
老舗の安心感からついお気に入りばかり頼んでしまいがちですが、何を頼んでもハズレなし。それだけに通えば通うほど何を食べようか迷ってしまい悩ましいのですが、きしめんに限らず、いろんなメニューを味わってみてください!
■かめ壽本店
・名古屋市中区栄5-4-1
・℡052・241・0147
・11:30~15:00(L.O.14:20)、17:00~22:00(L.O.21:20)(土は11:00~15:00、17:00~21:00 ※L.O.20:40)
・日・祝休
・地下鉄栄駅・矢場町駅より徒歩7分
・駐車場なし
・62席
・きしめん 麺/幅12mm・厚さ2mm
・小麦粉/金トビ志賀・金トビ
・ダシ/ムロアジ、宗田ガツオ
・つゆ/ヤマヤ醸造・薄色たまり、白しゅうゆ
・ころ850円、ざるきしめん950円
・その他のメニュー
志の田900円、ざる950円、玉子とじ850円、肉うどん1000円、なべやき1250円、みそ煮込み1250円、玉子丼900円、かつ丼1200円、どてに600円、天ぷら1700円
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