大問題! なぜ名古屋で「おいしいきしめん」に出会えないのか?

名古屋めしの中でも特に歴史があり、全国的な知名度も高い「きしめん」。にもかかわらず、おいしいきしめんに出会うことは意外と難しい。そこにこそきしめんが抱える大きな問題が集約されています。きしめんを盛り上げるためには、問題点に着目し、現在のきしめんのポジションを認識することが大切。今後その課題をひとつひとつ解決していきましょう。
大竹敏之 2026.03.07
誰でも

はじめまして。「名古屋」を専門にしている自称「名古屋ネタライター」の大竹敏之と申します。

この度、the Letterにてニュースレター「あなたは本当のきしめんを知らない 〜きしめん大復活プロジェクト〜」を配信することになりました。名古屋名物・きしめんの本当においしいお店や食べ方の情報をお届けし、遠くない将来の書籍化、さらにはきしめんムーブメントを巻き起こすべく、皆さまのご意見・ご協力も募っていきたいと思います。

まずは自己紹介

さて、お初の読者様もたくさんいらっしゃると思いますので、まずは自己紹介から。当方、名古屋を拠点に活動しており、ライター歴は30年以上。グルメ、カルチャーなど名古屋情報全般を各種メディアに発信しています。

Yahoo!ニュースでは「大竹敏之のでら名古屋通信」を配信。書籍は『名古屋の喫茶店完全版』『名古屋の酒場』(リベラル社)、『間違いだらけの名古屋めし』(ベストセラーズ)、『名古屋金シャチさんぽ』(風媒社)など、単著・共著を含めて20冊以上を出版。

そのほとんどが「名古屋」「東海」とタイトルについたいわゆるご当地本です。

大竹敏之の著作の数々。ほとんどがいわゆる名古屋本。 ※写真撮影/筆者

大竹敏之の著作の数々。ほとんどがいわゆる名古屋本。 ※写真撮影/筆者

なぜ今、きしめんなのか?

このニュースレターで取り上げ、盛り上げていきたいのが「きしめん」です。

うどんより麺の幅が広くて薄いのがきしめんの一番の特徴。具はふちの赤い名古屋かまぼこ、油揚げ、ほうれん草、花かつおが王道。写真は「川井屋本店」(名古屋市東区) 写真撮影/筆者

うどんより麺の幅が広くて薄いのがきしめんの一番の特徴。具はふちの赤い名古屋かまぼこ、油揚げ、ほうれん草、花かつおが王道。写真は「川井屋本店」(名古屋市東区) 写真撮影/筆者

なぜ今、きしめんなのか?

それはきしめんが、数ある名古屋めしの中で最も正しく評価されていない食べ物だからです

きしめんは江戸時代発祥で、いわゆる名古屋めしの中でとりわけ歴史のある一品です。全国的な知名度も非常に高いことは間違いありません。ところが、なぜかその魅力が正しく伝わっているとはいえません。おいしいお店の情報はきわめて乏しく、しかも一時は地元でも・・・いや地元でこそあまり食べられず、絶滅危惧種とまでいわれていたことすらありました

そこで、あらためておいしいお店の情報を集めて発信していくのが、このニュースレターの目的のひとつ。続いてそれを書籍化するのが第二の目標。さらには多くのファン、様々な業界などを巻き込んで、きしめんを真の名古屋名物として復活させるのがこのニュースレターの野望です。

名古屋駅ホームの立ち食いが一番うまい(?)

いやいやそんなことないでしょう、と思うかもしれません。

では、おいしいきしめんの店はどこか? 試しに、名古屋に友人知人がいる人は聞いてみてください。あるいは名古屋の人でしたら思い浮かべてみてください。かなりの高確率でこんな答えが返ってくる、あるいは浮かんでくるはずです。

「名古屋駅ホームの『住よし』!」

そう。駅ホームの立ち食いスタンドを思い浮かべる人のなんと多いことか・・・。確かに『住よし』のきしめんは、全国的な知名度は最も高く、年間およそ100万食以上とおそらく日本で最も食べられているきしめんです。香ばしいダシに誘われさっとかき込む味わいは旅情をかき立て、それも含めて魅惑的な一杯であることには筆者も異論はありません。

しかし、あくまでクイック&リーズナブルを最優先したファストフード。旅の人が「きしめん、おいしい!」と思ってくれるのは喜ばしい限りですが、地元の人まで「これが一番!」といっているのを聞くと、「ちょ、待ってちょ!」とキムタクの名古屋弁でツッコミを入れたくなってしまいます。

名古屋駅ホームの「住よし」。新幹線、在来線合わせて9店舗がある。遠方からのお客に人気だが、地元のファンも少なくない。写真撮影/筆者

名古屋駅ホームの「住よし」。新幹線、在来線合わせて9店舗がある。遠方からのお客に人気だが、地元のファンも少なくない。写真撮影/筆者

名古屋にはきしめん屋がない(!?)

さらに「おいしいきしめん」に出会うのが難しいのは、名古屋には「きしめん屋」がほとんどないからです。意外に思うかもしれませんが、きしめん専門の店は先の「住よし」と熱田神宮の「宮きしめん」以外はほとんどなく、そのためネットで検索しても希望に叶う情報になかなか行き当たりません。

では、きしめんはどこで食べればいいのか? それはうどん屋です。名古屋のうどん屋は、うどん、きしめん、味噌煮込み、さらにはそばもあるのが当たり前。品書きには例えば「天ぷらうどん/きしめんにもできます」などと書かれ、ようするにきしめんは、うどん屋の麺の選択肢のひとつなのです。

「きしめん」ののれんを掲げる店もあるが、名古屋できしめんを食べられるのは基本的にうどん屋。きしめん専門店はほとんどない。写真は名古屋市瑞穂区の「芳乃家」 写真撮影/筆者

「きしめん」ののれんを掲げる店もあるが、名古屋できしめんを食べられるのは基本的にうどん屋。きしめん専門店はほとんどない。写真は名古屋市瑞穂区の「芳乃家」 写真撮影/筆者

名古屋人はきしめんを食べない(!?)

もうひとつ、これが最も問題なのですが、「おいしいきしめん」と出会いにくいのは、地元の人がきしめんを食べていないからです食べていないから立ち食いスタンドしか思い浮かばず、ラーメンブログはいくらでもあるのにきしめんブログはほぼありません

つい最近もアーティストのスガシカオさんが住よしを「大好きです」とSNSに投稿したところ、賛同するコメントが殺到してYahoo!ニュースでも取り上げられる事態になりました。県外の人に名古屋めしを好きだといってもらうと舞い上がってしまうのはきしめん以外でもありがちなのですが、「きしめんは住よしが一番!」と前のめりになってしまうのが名古屋人の困ったところ。

東京でいえば「富士そばがうまい」は間違いありませんが、「そばは富士そばが一番!」といったらあちこちからいろんなものが飛んでくるんじゃないでしょうか。なのに「住よしのきしめんがうまい」が「きしめんは住よしが一番!」になってしまうのは、結局のところ名古屋人も観光客と同程度にしかきしめんを食べていないからです。

名古屋とその周辺にしかなく、しかも独自のおいしさがあるきしめんなのに、地元の人も駅の立ち食いで満足する程度しか食べていない・・・。これは何とももったいない! 思えば、きしめんのこんな立ち位置は、名古屋という街にも相通じます他のどの地域とも異なる独自の個性があるのに、なぜか地元の人ほどその魅力に気づいていない。清水義範さんの小説『蕎麦ときしめん』にもある通り、きしめんは名古屋という街そのものなのです(!?)。

ただし、地元の人が食べない「きしめん冬の時代」のどん底は2010年頃で、近年はかなり盛り返してきています。それでも、「きしめんなんて食べない」といわれていた当時のままで時が止まっている人が多いのもまた事実。そのため、名古屋におけるきしめんに関する絶対的な情報量や経験値はまだまだ足りていません。そこで、麺好きの間ではじわじわ盛り上がっているきしめん人気をブーストさせるためにスタートさせるのが、このメールニュースです。

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このニュースレターは、真においしい名古屋のきしめんを記録し、一冊の本にまとめ、きしめんを名古屋名物として復活させるまでのドキュメンタリーです。そして、あなたは一読者ではなく、この活動の大切なパートナーです。あなたが知る「おいしいきしめん」の情報こそ、この貴重な食文化を守る力になります。是非、返信やコメントで、あなたのとっておきを教えてください! そして一緒にきしめんを食べ、盛り立てていきましょう!!

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