うまいきしめんはここにある! 麺はしなやか。すべて手作業~「川井屋本店」
うまいきしめんはうどん屋にあり!
「うまいきしめんはどこにあるんだ!?」
名古屋に来て名物のきしめんを食べてみようか・・・と思った多くの人が直面するこの問題。見つけにくい最大の要因はきしめん専門店がほとんどないからです。
ではどこで食べるのかというと、地元の人が日ごろきしめんを食べているのはうどん屋です。名古屋のうどん屋は、うどん、きしめん、味噌煮込みうどん、さらにはそばまでひととおり扱っているのが当たり前なのです。
そんな中で比較的ネットの検索でも上位に出てきて、なおかつその情報に間違いがないのが「川井屋本店」です。上のようなメニューラインナップのオールマイティなうどん屋ですが、しっかりきしめんに力を入れている一軒です。
すべての工程が手作業の純手打ち
「水まわしからこね、まるけ(小麦の玉をつくる名古屋特有の工程)、足ふみ、延ばし、切りまですべて手作業。どの工程も手を抜かずにやる。これに尽きます」と3代目の櫻井太郎さん。名古屋のうどん、きしめんは生地の塩分濃度が非常に高いため、ひと晩寝かせて熟成させないと固くて延ばすことができず、かつきしめんはうどんよりもさらに薄く延ばす工程があるため、時間も技術も体力も要します。
うどん屋が大繁盛した昭和40~50年代、引きも切らない注文をさばき切れず、手打ちから機械打ちや製麺所からの仕入れに切り替えた店が多かった中、ここでは創業当時からの純手打ちを守ってきました。そのおいしさは広く知れ渡り、夏は注文全体の8割近く、味噌煮込み需要が増える冬でも4割をきしめんが占めるといいます。

きしめん700円。具は縁の赤い名古屋かまぼこ、油揚げ、ほうれん草、花かつお。これぞ正統派のザ・きしめん
丹念に打った麺はしなやかですべすべ。麺の幅や厚みもきれいにそろっているので、舌の上をするするとなめらかに滑っていきます。つゆは深いコクの溜まり醤油ベースで、ダシはそそれに負けない力強いムロアジに、香りづけに宗田ガツオを少々。この組み合わせは名古屋のスタンダードで、クセの強いもの同士の組み合わせでありながら、まろやかで優しく、最後まで飲み干せます。

透き通るような美しい麺。粉はうどん粉専門の製粉メーカー・金トビ志賀(愛知県蒲郡市)の最もスタンダードなブランド、カモメを使用
4代目の挑戦! 老舗の麺も進化
伝統を守る一方、意外な変化も。
「ん? 麺、ちょっと幅広になりましたね」
3代目にこう尋ねると、「やっぱり分かりましたか」とちょっと苦笑い。以前は今よりやや幅が狭く、かつ厚みもあってもっちりした、いかにも伝統的なきしめんだったのです。
「今、きしめんは息子にまかせているんです」とのことで、この進化(?)の張本人は4代目の良樹さん。「確かに父よりも少し幅広くなっています。でも、いろいろ試行錯誤しているところです」

3代目の櫻井太郎さんは昭和39年生まれの61歳、4代目の良樹さんは平成6年生まれの31歳。「うちのきしめんが一番うまい。そういう気持ちでないとできないと思っています」と良樹さん
幅広化は今、名古屋のきしめんシーンのトレンド。4代目もこの流れを意識しつつ自分が最もおいしいと信じられる型を探究している段階なのだとか。個人的には、今のやや幅広の麺はしなやかさを分かりやすく感じられ、非常に好みです。

2年ほど前からきしめんはすべて良樹さんが打っている。切りのリズムが正確で幅は見事に均一
正統派の矜持を守りつつ、今ドキのトレンドも取り入れる。温故知新の老舗のきしめんはこの先どんなおいしさを追求していくのか? 初めてでももちろん安心しておいしく味わえますが、くり返し足を運んで進化の過程を確認するのも楽しみです。

店内は落ち着いた雰囲気で全54席。名古屋城の外堀通りで創業し、昭和39年に現在の場所に移転
名古屋市東区飯田町31
℡052・931・0474
11:00~14:00、17:00~20:00(L.O.19:20)
日祝休
駐車場12台
地下鉄高岳駅より徒歩15分
きしめん・麺/幅1・1㎝、厚み1mm
小麦粉/金トビ志賀カモメ
つゆ/ヤマヤ溜まり醤油
ダシ/ムロアジ、宗田カツオ
その他メニュー/ざるきし950円、きしめん定食1050円、釜揚げきしめん1100円、えびおろし220円、親子丼970円、天ぷら盛り合わせ2200円、味噌煮込み1050円
※ 価格などデータはすべて取材時2026年2月時のものです。変更がある可能性もございますので詳細は店舗に直接お問い合わせください。
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